茅場町 鳥徳「ノスタルジックな日本家屋で、明治から愛される鳥料理を囲む夜」
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茅場町 鳥徳「ノスタルジックな日本家屋で、明治から愛される鳥料理を囲む夜」

ポール・スチュアートは1938年の誕生以来、NYで多くのビジネスマンのスタイルを支えてきた。遠く東京でも、その当時から働くオトコたちの味方だった鳥料理屋がある。今回は、そんな互いに長い歴史をもつ老舗同士のマッチング。仕事でいいパフォーマンスを出すには、自分に力を与える装いと食が欠かせない。

Photo. Shinsuke Matsukawa/ Styling. Saori Kajitani/ Text.Tomoko Oishi/ Edit.Pomalo Inc

「鳥徳」の創業はいまから120年以上前の明治30年代。当時は牛鍋が流行していたころで、しかしそれは庶民には手の届かない高級品だった。「誰もが楽しめる肉料理を」との想いから、初代の鍋島徳太郎氏が鳥鍋を考案したのが「鳥徳」誕生のきっかけ。それからずっと引き継がれている鳥鍋をはじめ、焼鳥や鰻も提供し、店は近隣のビジネスマンの胃袋を満足させ続けている。

ロケーションは銀行や証券会社が数多く立地する日本橋茅場町。1950年代の神武景気や1980年代のバブルの時代、“日本のウォール・ストリート”とも呼ばれた兜町のすぐ隣だ。そのころの客の多くは、マッチョな証券マンたち。今のようにデジタル化されていない金融業界では、株式市場のラッシュで人を押しのけ取引できる体力のある証券マンが幅を利かせていた。

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2階には伝統的な日本家屋の造りが多くみられる。右上:網代天井と4代目店主手書きのメニュー。右下:2階奥の床の間のある座敷。昔は料亭だった建物を「鳥徳」に繋げた場所。左上:昔懐かしい廊下が座敷を繋ぎ、各座敷は襖を閉めて個室にすることもできる。左下:日本家屋ではおなじみの丸窓も、外国人客は珍しがる。

店は、まるで昭和にタイムスリップしたような感覚になる古民家。これまで関東大震災と東京大空襲で二度焼けてしまい、現在の店舗は昭和30年に建てられた。60年以上何のリノベーションも施されていない建物は、今では珍しいほどの素朴な日本家屋。軋む音をたてる階段を上がり2階へ行くと、床の間や引き戸、丸窓や網代天井など、すべてが昔のままでノスタルジックさは満点! 手書きのメニュー表もいい味をだしている。海外からのクライアントを連れていけば喜ばれること間違いない、古きよき和の空間だ。

夜に鳥鍋をいただくなら、まずはその前につまみや焼鳥で酒を楽しもう。現在焼き場に立つのは4代目の鍋島孝太郎さん。創業当時からつき合いのある問屋「鳥安」から仕入れる新鮮な鳥を、部位ごとに火入れを変え丁寧に仕上げていく。秘伝のタレについてはこう教えてくれた。

「私が生まれる前から継ぎ足しで使っているタレです。材料は醤油、砂糖、みりんだけですが、串を浸す際に肉の旨味が加わっています」

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右:4代目店主の鍋島孝太郎さん。窓ガラスごしに焼き場を見られるカウンター席もある。左:継ぎ足しのタレは器もすべて昔から使用しているもの。

上が鰻の肝焼き(400円)、下がくりから焼き(450円)

串の盛り合わせ(1150円)。右上から、野菜のはさみ焼き、合鴨、もつ4種、レバー、もも肉、手羽。

タレは過度な味ではなく、でも奥深い。焼き場からもれるタレが焦げる香りをかげば食欲を抑えられなくなる。また嬉しいのが、鰻の串も気軽に食べられることだ。愛知県からとりよせる鰻は、うな重のほかに肝焼きとくりから焼きでも提供されている。それも1本400円代という酒場価格!

上:鳥鍋4人前の素材(ひとり2100円)。鍋はスタッフが目の前で仕上げてくれる。下:牛鍋と同じ要領で、はじめに肉を鳥の脂で炒め、その後、割り下を注ぐ。

そうして日本酒が進んだころに登場するのが本命の鳥鍋だ。鉄の丸鍋がセットされ、並ぶ具材は鳥のレバー、もも肉、たたき、豆腐、しらたきに野菜各種。

食べて驚くのが、鳥鍋が牛鍋に負けじとコクのある味わいだということ。レバーやたたきが細かくくずれ、それが割り下にいい深みを与えてくれる。そしてその汁がしみた豆腐の旨いことといったら。焼き豆腐にして水分量が多く、大豆の味もしっかり感じる逸品だ。

「豆腐は浜町の関商店のもので、店主の関さんは73歳。ここの豆腐じゃないと嫌なんですが、関さんには跡とりがいないんです。作り方を教わろうかな…」とは鍋島さん。関商店も創業時からのつき合いだと言う。

鳥は軽くしゃぶしゃぶして半生でも食べてしまいたくなるほど臭みがなく新鮮。歯ごたえもよくジューシーで、みな次の肉へとどんどん手が伸びる。肉をつける卵は奥久慈のひたち農園のもので、黄身が元気ではりがある。気づけば卵も具材もぺろりと平らげられ、白飯(200円)も進む。この米がまた旨いのだ。

すべての食材が高品質で、ひとり2100円とはまさに良心価格。明治時代と変わらずいまも庶民の味方である鳥鍋は、これからもずっと続いてほしい東京名物のひとつである。120年続く老舗は、友人や家族、ビジネスパートナーなどなど、東京を訪れるさまざま相手を連れていくにぴったりの場所。二階席で鳥鍋を食べれば、店が長く慕われている理由を知るはずだ。

RECOMMEND STYLE

仕事帰りに古民家でディナーデート
そんなシーンにはクラシックの色気をプラス
MEN

ビジネスマンの客も多い「鳥徳」のなかで、悪目立ちせず、でも洒落っ気を出したいならしわになりにくい「STUART’S TRAVELER」をスリーピース風にまとめたい。定番のネイビーもチェック地のジャケットなら一転華やぎが出る。落ち着いたトーンなのでストライプのシャツともはまり、同系色のペイズリーのチーフを挿せばデートスタイルが完成。鳥鍋を食べると体温も上がるので、ノータイが心地よい。

  • JACKET ¥89,000(+TAX)
    SHIRT ¥19,000(+TAX)
    VEST ¥36,000(+TAX)
    TROUSERS ¥23,000(+TAX)
    POCKET SQUARE ¥6,500(+TAX)
    BELT ¥16,000(+TAX)
WOMEN

明治時代から続く老舗料理店に合わせ、クラシックな雰囲気も漂うワンピースをセレクト。肌の露出は控えめなものの、ウエストをしぼれば女性らしいメリハリのあるシルエットとなる。立襟からVネックになる切り替えが美しく、そこにパール調のネックレスを合わせればゴージャスさも加わる。

SHOP INFORMATION

「鳥徳」
ADDRESS/東京都中央区日本橋茅場町2-5-6
TEL/03-3661-0962
OPENING HOURS/11:00〜13:30、17:00〜22:00
CLOSED/土日祝日

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