2022.10.21

【SANYO & Paul Stuart Sustainability】 提言:サステナブルな社会の実現のために、メーカーができること、お客様に伝えたいこと

ポール・スチュアート「メンテナンスキャンペーン」より

 

日々、普通に生活していても、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)やサステナブルという文字を目にする機会が年々増えています。私たちファッションに携わる者は、2019年に国連貿易開発会議(UNCTAD)が出した、アパレル・繊維業界が「世界2位の環境汚染産業」というレポート(ちなみに1位は石油)に多大なる衝撃を受けました。

 

「私たちが愛して止まない服が、地球環境を破壊している!」――インパクトあるレポートが世に広まってから、環境問題はもちろん、2013年にバングラデシュの縫製工場が倒壊した“ラナ・プラザの悲劇”をはじめとする人権問題など、アパレル業界全体が厳しい目を向けられているのも事実です。

 

もちろん、業界全体は相当な危機感を持って動き出していますが、三陽商会も今春、「サステナビリティ推進室」を設けて、ポール・スチュアートの部長だった小林裕子が初代室長に就任しました。今回は、小林が三陽商会としてのサステナビリティ活動の取り組みを、EC・商品運営課の高橋純がポール・スチュアートが実践している活動などをご紹介します。

 

Photo. Shimpei Suzuki / Text. Makoto Kajii
Edit. FUTURE INN

 

川の流れに例えられる、“洋服がお客様の手に届くまで”

アパレル業界では、「川上・川中・川下」という用語がよく使われます。メーカーが洋服を企画するところを起点として、洋服ができあがって販売するまでを「川」に例えた表現です。

 

「川上」は原料や糸・生地などを生産する業種を、「川中」はその原材料から製品を作るメーカーや商社などを、「川下」はできあがった商品をお客様に販売する小売り(ショップ)を指しますが、サステナブルという視点に立つと、この「川=サプライチェーン」はあまりに長く、アパレル業界がよく指摘される“大量生産・大量廃棄”だけの問題ではないことが分かります。

 

今回の取材で、小林室長が、「三陽商会の国内の自社工場で生産している製品は、海外生産の製品に比べて輸送によるCO2排出は低減しているといえます」と発言して、ハッと気づかされました。

 

アパレル・繊維業界は、「廃棄と人権と循環」が課題

――小林さんはサステナビリティ推進室室長に就任されて約半年ですが、ご自身の中で意識の変化はありましたか。

 

小林裕子(以下、小林) 問題は地球環境に関することなので、どんな仕事をしていても、どんな立場であっても、地球に住んでいる人は皆、真剣に考えなければならない課題です。メーカーとして、ものづくりによる温室効果ガスの排出など責任を持たなければならないのはもちろんですが、一消費者として、「問題を知ることが行動を変える第一歩」だということに気づかされました。

 

 

――私たちが暮らしの中で環境問題をどう感じて、アクションに直結させるかということですね。

 

小林 とても大きなテーマなので、個人で考えることも大事ですが、生産者・消費者が協力し合って前に進んでいくことが必要です。生産者側としては、アパレル産業は分業化が進んでいるので、関わっている人が団結することが環境問題解決の推進力になります。メーカーである私たちにとって、直接関わることのできるお客様・小売店・工場までは見えますが、「川上」については、“誰かがやっていること”と遠く感じることも事実です。これは、どんな業界でも同じはずで、特にサプライチェーンが長い産業は、原材料の生産地・生産者まで思いを馳せるのは難しいことです。

 

――確かに肉や野菜を食べるとき、生産地の土地の状態や生産者の顔までは思いが至りませんね。そういう状況の中で、三陽商会のサステナブル活動の根幹は何ですか。

 

小林 お客様に分かりやすく伝えるなら、「良質な服を長く着て、愛用していただく」ことが一番のサステナブルな行動だと思います。サステナビリティという言葉が浸透する前の2013年に、三陽商会はタグライン「TIMELESS WORK.ほんとうにいいものをつくろう。」を策定して、進むべき方向性を社内外に示しました。

 

「いつの時代でも変わらぬ価値のあるものづくり」を表したこの言葉をもとに、三陽商会のもの作りの自信、アドバイザーとしての販売員の確かな提供力を磨き、お客様の理解と賛同を得て、長期着用を推進することが社会貢献につながる、こう捉えて“三方の信頼関係”を築いていきたいです。

 

――まさに新しい「三方良し」ですね。ファッションの短サイクル化や低価格化と関連する大量生産・大量廃棄とは対極のメッセージです。
 

三陽商会 衣料回収キャンペーン「EARTH TO WEAR RECYCLE」

 

三陽商会では、お客さまの不用な衣料品を回収して新しく服をつくるための資源に循環させていく活動として「EARTH TO WEAR RECYCLE」を実施しています。回収した衣料は、株式会社JEPLAN(旧社名 日本環境設計株式会社)のリサイクルプロジェクト「BRING」の技術によって、新しい服の原料や自動車内装材などに再資源化し、地球の資源へ循環させています。また、一部の店舗では回収した衣料品のうち品質表示のダウン率が50%以上の羽毛製品について、グリーンダウンプロジェクトを通じて羽毛をリサイクルいたします。

 

服育活動の服育授業

 

未来を担う子供たちに向けて、ものづくりの楽しさを体験し、服を長く大切に着る心を育てることを目的に、2014年より都内の小学校を対象として三陽商会のデザイナーやパタンナーが服育授業を実施してきました。

 

2017年からはエコギャラリー新宿(新宿区立環境学習情報センター)と協働して新宿区内の子供たちへ授業を実施し、エコギャラリー新宿による環境教育プロジェクト「環境日記」への参加促進に貢献しています。

 

新宿区の小学生を対象とした服育授業の様子
※『服育Ⓡ』は株式会社チクマの登録商標であり、株式会社チクマの使用許諾に基づき使用しています

 

服育活動
学ぼう!服のこと ~ 服育動画 ~

 

――サステナビリティ推進室室長として、今後の展望を教えてください。

 

小林 現在サステナブル活動として行っている「衣料回収キャンペーン」は、お客様が気軽に参加しやすく、不用になる服をリサイクルにまわして新しい服を選ぶ、というように服の買い方が変わるほど好評です。「服育授業」はコロナ禍でオンラインになっていますが、長く取り組んでいます。

 

サステナビリティはとても範囲が広いですが、社内では、スタッフや従業員にその重要性を啓発して、たくさんの賛同者=環境アンバサダーを増やしたい。社外では、取引先やサプライヤーと繋がりを作っていくことから始めます。

 

地球環境改善に関しては、「廃棄と人権と循環」が、アパレル・繊維業界の固有の課題です。廃棄されない長く着られる良質な服を適量作る、生産者の人権を尊重する、そしてリサイクルなど循環のシステムを作る。さらに、技術の継承や排水などが生態系に与える影響なども大切な問題で、ポール・スチュアートでは水を汚さない無染色・自然染色の生地を推奨するなど、全社を挙げて取り組んで行きます。

 

ポール・スチュアートが実践しているサステナブル活動

――小林室長の話を踏まえて、ポール・スチュアートのサステナビリティ活動についてお話ください。

 

高橋純(以下、髙橋) アパレル業界とサステナブルの関係で、関心の高い「大量生産・大量廃棄」に関しては、私も一消費者として、「捨てない」ことが一番身近にできることです。洋服を廃棄せず、循環させる「衣料回収キャンペーン」は全社的に定番化し、さらにポール・スチュアートでは、洋服を作ったときに出る“残反”を活用してポーチを作成しました。

 

 

メンズは、イタリアの卓越性を象徴するファブリックメーカー「VITALE BARBERIS CANONICO(ヴィターレ・バルベリス・カノニコ)」の生地を使って、ウィメンズはワンピースの残反を利用して、他では手に入らないフラットポーチを作成して、ご購入されたお客様にお渡ししています。

 

 

――ヴィターレ・バルベリス・カノニコでは、話題の生地「H.O.P.E.」のMADE TO MEASURE(MTM)メイド トゥ メジャーもサステナブルな視点から取り組まれています。

 

髙橋 大量生産・大量廃棄の対極にあるのは「適正数を作る」ことで、これも洋服のプロとして全社・全ブランドを挙げて取り組んでいますが、ポール・スチュアートの強みとしては、オーダー受注生産をすることで、在庫を作らないことができます。特にスーツやジャケットは、お客様の体型に合った服を作ることで、長く着ていただけることにも繋がって行きます。

 

 

ポール・スチュアートがヴィターレ・バルベリス・カノニコの生地「H.O.P.E.」に力を入れているのは、通常は、生地を染色するときに水を汚す(汚水)が発生してしまいますが、「H.O.P.E.」は無染色・自然染色の生地なので、地球環境にダメージを与えません。昨年秋から“環境に配慮した本物のモノづくり”というテーマのもと、オーダーの生地として展開(※今シーズンより全国メンズショップにて展開開始)しています。

 

 

――確かに、サステナブルという観点から見ると、オーダーメイドはメーカーにも消費者にもWin-Winですね。

 

髙橋 オーダーメイドは昔からありますが、良い生地と良い仕立てだからこそ愛着が沸くもの。そういうブランドの思いは、大切な洋服をメンテナンスしてより長くご愛用いただく「メンテナンスキャンペーン」の実施に結びついています。メンテナンスやリペアをして、自分で着用されるのはもちろん、息子さんや部下に継承していく方もたくさんいらっしゃいます。

 

【店頭フェア】「持続可能なライフスタイル」メンテナンスキャンペーン

 

大切な洋服をメンテナンスして良いものをより長くご愛用いただくメンテナンスキャンペーンが好評のうちに10月18日(火)に終了。ポール・スチュアート商品のボタン交換や裾上げなどメンテナンスを「無料」で承るキャンペーンの次回開催をご期待ください。

 

 

――では、ポール・スチュアートのサステナビリティ活動の今後を教えてください。

 

髙橋 ポール・スチュアートとしては、「仲間集め」が重要だと考えています。洋服の作り手としては素材開発などに取り組み、特に今秋スタートしたゴルフカテゴリーでは、リサイクル素材の活用など、スポーツシーンに適した提案をしていきたいですね。あとは、ショップスタッフの意識向上や、お客様との対話の中で、サステナビリティ活動を伝えていくことも大切にしていきたいと思います。

 

【店頭 ノベルティ プレゼント フェア】開催中

 

10月25日(火)まで全国百貨店・直営店で開催中の「STUART'S TRAVELER」FALL COLLECTION FAIRでは、2点以上かつ税込66,000円以上購入された方に、先着でポール・スチュアートの生地をアップサイクルしたフラットポーチをプレゼント。

 

ウィメンズの「Back To Manhattan」FALL COLLECTION FAIRでは、上記期間中、2点以上かつ税込77,000円以上購入された方に、同じくフラットポーチをプレゼントします。

 

 

青山本店で「ビー・エム・ダブリュー東京」とコラボレーションキャンペーンを開催中

「Paul Stuart GOLF」の本格デビューを記念して、ポール・スチュアート青山本店内の中央コリドー(回廊)に、10月31日(月)までBMWの4シリーズクーペ「M440i」を展示中。さらに、ビー・エム・ダブリュー東京が運営する「BMW青山スクエア」で「Paul Stuart GOLF」を展示し、ポール・スチュアート 2022年秋冬 COLLECTION カタログや、Bar「The COPPER ROOM(ザ コッパー ルーム)」で使用できるドリンクチケットなどを配布しています。ぜひご来店ください。

 

BMW青山スクエア
東京都港区北青山2-12-16 吉川ビル1・2F
営業時間 平日11:00~19:00、土日祝日 10:00~19:00
定休:火曜日
https://bmw-tokyo.bmw.jp/ja/aoyama

ポール・スチュアート 青山本店
TEL 03-6384-5763
東京都港区北青山二丁目14-4 ジ アーガイル アオヤマ 1F
営業時間 11:00~20:00
併設するバー「THE COPPER ROOM(ザ コッパー ルーム)」
18:00~24:00 ※同一テーブルでの会食は4人以内
※酒類の提供を再開しております
これまで同様、感染防止対策を徹底し営業いたします。
ご不明な点がございましたら、ショップまでお問合せください。