2021.09.03

【Paul Stuart 2021 FALL&WINTER COLLECTION】 ─ディレクターが語る秋冬シーズンの楽しみ方─ コレクションが出来上がるプロセスを解説する

 

ファッションに関する記事の中に、「テーマ」や「ディレクション」という言葉がよく出てきます。日本におけるディレクターの鴨志田康人やウィメンズディレクターの見上きよみの仕事は、服のデザインだけでなく、ブランドの方向性の目線を決めるのも重要な任務で、テーマやディレクションは、いわば船の航海の羅針盤のようなもの。船は目的地の方向に羅針盤を合わせて進みますが、ファッションも年2回のコレクションという海図の中で、迷うことがないように舵を切っていきます。ポール・スチュアートのメンズとウィメンズの2021年秋冬コレクションのテーマは、「Longing for Country Life」。共通したテーマの中で、新鮮なスタイリングを提案します。

 

Photo. Yoshimi Seida / Text. Makoto Kajii
Edit. FUTURE INN

 

ポール・スチュアートさんという架空の男性は、どう着こなすのだろう

 

――今年の春夏コレクションも「ディレクターが解説する最新メンズカタログ」で解説していただきましたが、秋冬コレクションのテーマは、「Longing for Country Life」ですね。

 

鴨志田 コレクションを考える出発点は、その時々のシーズンで変わりますが、美術展や素材の展示会を見たり、読んだ本や写真集などのカケラが徐々に集まって形になっていきます。

 

――そのイマジネーションをボードにしてビジュアル化していくわけですね。

 

 

鴨志田 そうですね。今シーズンはすべて自分の服でイメージボードを作成しました。

 

――なるほど。鴨志田さんのクローゼットの中がコレクションとして具現化しているわけですね。

 

鴨志田 今は、新しいデザインのアイテムよりも、ボードにある「Gray Flannel Man」など、クラシックなものを色やスタイリングで新鮮に見せることに注力したい。時代はリラックス感を必要としていますが、クラシックな素材やアイテムで、コンフォタブルなクラシックを演出したいと思っています。

 

――コレクションの核となるものを一言で表現すると。

 

鴨志田 それは「自分が何を着たいか」ですね。さらに自分の中にいろんな人物像がいて、「ポール・スチュアートさんという架空の男性はどう着こなすのか?」からアプローチして、そこから引き出していきます。

 

 

カントリーは、ストライプより無地かチェック。ウォーム感のある着こなしが新鮮

 

――では、秋冬コレクションの中からお薦めをご紹介ください。

 

鴨志田 今シーズンは、シェトランドツイードやビエラのタッターソールなどをくすんだ色の調子で表現していて、重ねていくと新鮮です。シェトランドウールを使ったジャケットとパンツは、スーツで着るのはもちろん、ニットを着て普段にも着てほしいですね。

 

 

――今シーズンはコートの品揃えも圧巻です。

 

鴨志田 秋冬の主役はやはりコートやブルゾンですね。ラベンダーのダッフルコートなど、自分が欲しいものがいっぱいあります。グレーをベースにしたニュアンスカラーや、アーシーカラーのニットやアウターなどで優しく、かつクールな雰囲気をお楽しみください。

 

 

――では、お客様にメッセージを。

 

鴨志田 マクロな視点での地球温暖化やミクロな目線でのテレワークなどの影響で、ファッションはリラックススタイルが主流で、いわゆるTPOが崩れてきていますが、個人的には生活にメリハリがなくなる危惧を抱いています。服は気分を上げるものなので、遊びでスーツを着たり、きれいな色を纏ったり、たまに美味しいものを食べるのと同じように、美味しい格好を楽しみましょう。背筋を伸ばすのは、気持ちいいことです。

 

都会にいる人が憧れるカントリーライフをエフォートレスに表現

 

――見上さんにも「ディレクターが解説する最新ウィメンズカタログ」で、今年の春夏コレクションを解説していただきました。今回の記事では、「服が出来るまで」についてお訊きします。

 

見上 カタログを見ると感じていただけるはずですが、いつものシーズンよりビジネス感が薄くなっています。シーズンテーマはメンズと共通の「Longing for Country Life」で、秋から冬にかけては、全体的にリラックスムードのある「エフォートレスシック」をサブテーマにしています。

 

 

――自然に触れ、時がゆったりと流れるカントリーライフにLONGING FOR(憧れる)気持ちがテーマですね。

 

見上 秋の立ち上がりは、着心地が良いジャージー素材や布帛に見えるニットなどを中心に、ベージュから少しくすんだピンク、ワインレッドなど、こげ茶や赤みのある色をチェックやアーガイルで表現。さらに冬にかけては、ホームスパンなどどこか懐かしさのある素材をガウンコートに仕立てたり、たっぷりとしたケープやダブルフェイスのポンチョなど、適度にカントリームードを取り入れて、街の中でさり気なく取り入れられるものにしています。

 

 

「エフォートレスシック」を代表する、一枚できちんと見えするブラウス

 

――では、秋冬コレクションの中からお薦めをご紹介ください。

 

見上 軽いポンチョのようなシルエットで、長めのボウが美しいブラウスは新しいデザインでお薦めです。素材はジャケットなどに使用するクラシックなハウンドトゥースで、ブラウス素材にはないしっかりとした落ち感が、パンツと合わせてもドレスのような印象を演出してくれます。カタログではボウを後ろに結んで華やかさをプラスしています。

 

 

――前身のドレープが美しく、クラシックな雰囲気が素敵です。

 

見上 初秋は「ウィークエンドトリップ」をサブテーマに、週末に2時間ほどドライブして広い空や秋の風を感じたり、秋が深まって、タートルとブラウスとジャケットの重ね着や、綺麗な色のガウンコートを羽織ったり。さらに、毎回テーマにしている「ファブリックリミックス」では、ウイリアム・モリスのプリントのしなやかなワンピースを厚手のコートと合わせたり、同じカラーでも素材によって変わる表情を楽しめるグリーンやダスティピンクを揃えました。自由に気に入ったモノをそのまま手に取っていただけるとうれしいです。

 

 

ブランドとお客様と自分がシンクロしているのを感じます

 

――では、お客様にメッセージを。

 

見上 ウィメンズのディレクターになって4年になりますが、ポール・スチュアートを支持していただけるお客様の信頼は厚くなってきている実感があります。さらに、一人の女性のライフスタイルのバリエーション、TPOを意識したコレクション作りをしています。私の中では、「お客様に安心して着ていただきたい」というのが一番大事で、お店で気に入った服を選んで着ているうちに、今年っぽい色や素材感を自然に着こなしているというのが、理想です。

 

――それは、見上さんのクリエイティブに無理がないということですね。

 

見上 時代の変化や、年齢に応じたシーンの変化などに応じて自分が着たいファッションを提案しているからこそ、共感を持っていただけると思います。コロナ渦で様々な制約はありますが、粛々と続く日常もあります。今シーズンこそ、いつもトライしない素材、色、スタイルを手にとっていただくことをお勧めします。ちょっとした変化が気持ちを上げてくれるはずです。

 

 


 

INFORMATION
Paul Stuart Recycle Campaign

 

9月8日(水)から10月3日(日)まで、三陽商会の衣料回収リサイクル活動「EARTH TO WEAR RECYCLE」の一環として、Paul Stuart Recycle Campaignを行います。詳しくはポール・スチュアート各店舗にお問い合わせください。

 

EARTH TO WEAR RECYCLE
https://www.sanyo-shokai.co.jp/company/sustainability/etwr/

 

 

ポール・スチュアート 青山本店
TEL 03-6384-5763
東京都港区北青山二丁目14-4 ジ アーガイル アオヤマ 1F
営業時間 11:00~20:00
併設するバー「The COPPER ROOM(ザ コッパー ルーム)」
営業時間 14:00~20:00(※当面の間、ソフトドリングのみのご提供となります)
※詳しくは店頭スタッフまでお問い合わせください。