【MEN】時代に消費されないモノづくりと、モノ選び。─Jazztronik野崎良太(音楽家)前編
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【MEN】時代に消費されないモノづくりと、モノ選び。─Jazztronik野崎良太(音楽家)前編

時代が注目するキーパーソンにポール・スチュアートが迫る「STYLE SESSION」。 男性第2回目のゲストは、ミュージシャン“Jazztronik (ジャズトロニック)”こと野崎良太さんです。90年代後半から世界のクラブシーンでその名を轟かせ、その後多くのアーティストとのコラボレート、さらにプロデューサーとして活躍しながら、それでもまだ挑戦することをやめない野崎さん――。その原動力を追求すると、そこにはポール・スチュアートのフィロソフィーにも共通する、“つくり手”への熱い思いがありました。

Photo. Keiichi Suto / Text. Shizuka Horikawa / Edit. Pomalo Inc.

Jazztronikとファッション。

― 普段、お仕事中はどんなスタイルが多いのでしょう?

ステージ以外はいつもTシャツ×デニムみたいなだいぶカジュアルなスタイルです(笑)。作業は長時間になるので、僕に限らずこの業界の人はみんなけっこうラフでスウェットとの人とかもいますね。ステージ衣装は自分で選ぶときもあるし、ずっと担当してくれているスタイリストさんが選んでくれる場合もあるし、洋服屋の友だちが選んでくれることもあるし、色々です。

実は僕、格闘家になりたかった時期が一瞬あって、本気でばかみたいに筋トレしてたんですよ(笑)。そのせいで、一番鍛えてたときなんて胸囲1m以上あって。身長が高いわけじゃないのに、胸囲や肩、首なんかが身長180cmの人と同じくらいのサイズだったんですよね。合う衣装がなくなるからもうやめろってまわりに言われて5年前くらいにやめたんですけど、未だに身長に合わせてシャツを選ぶと、北斗の拳のケンシロウみたいになっちゃうんですよ(笑)

― スーツをカッコよく着こなすには、胸板の厚さが重要だと言われています。フォーマルなお洋服が似合う体ってことですね。

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けど、既製品で合うものはなかなかないんですよね。スタイルもそうですが、僕の場合ステージ上で着ることを前提に選ぶと合う服を探すのって本当に大変で。ピアノを弾くので、パンツ丈は立っている状態ではなく座った状態でちょうどいいものを選ぶんです。けど、立った状態で見ると、それって下手するとダボダボなものを着てるように見えちゃうんですよね。以前、何度かカスタムオーダーをしたことがあるんですが、そのときはそういう問題が全部クリアになって、着心地も全然違いましたね。

つくり手のストーリーをもっと多くの人に知ってもらいたい

― ちなみに、ポール・スチュアートにはMADE TO MEASUREというカスタムオーダーがあります。

プロの方に細かいところまでみてもらって合わせてつくるのがいいですよね、洋服は。40代になって、これまでいろんな服を着てきたからこそわかるのかもしれませんけど、若い人にも知ってもらいたいと思います。僕、もともと手に技術のある人がつくるものってすごく好きなんですよ。今の時代ってそれが軽視されがちじゃないですか。僕、それが嫌で。新しいプロジェクトをはじめたのもそれと同じ理由なんです。

― Musilogue(ムジログ)ですね。

ちゃんと頑張っている人のところに光が届かない状況を変えたいんです。カスタムオーダーもそうですが、つくり手さんの素晴らしさやストーリーをもっと多くの人に知ってもらいたい。つくる人にもっと光が当たってほしい。そう思って今年から始動したプロジェクトがムジログです。構想は2年くらい前からあったんですが、例えばテレビやCM、WEBサイトひとつとっても、音楽って必要だったりするじゃないですか。だから、みんなどこかから探してくるんだけど、その音楽ってバックボーンが見えなかたったりする。つくっている人やそのバックボーンがわかったほうが、つくってる側はもちろん聞いてる側にとってもいいんじゃないかなって思うんですよね。

― ただ消費されるだけのものは増やしたくない。そういう意味で、音楽業界とファッション業界の現状に類似性を感じますね。

そうですね。安いから使ったけど、誰がつくったのかもわからないまま流れ作業で終わっていくっていう感じがもったいない。もうちょっとものを、音楽を、丁寧に扱ってもらいたいなって。ミュージシャンって沢山いるんですけど、みなさんご存知の通り音楽業界って縮小してきてるんですね。けど、音楽家にはスポーツ選手とは違って引退制度がないので、なかなか若い子たちに仕事がまわりづらい。若い子に限らず、テクニックがあってセンスがよくても、世渡り上手じゃなかったら仕事がないとか、どこの業界でもそうだとは思うんですけど……。かといって世渡り上手なやつがうまいのかっていったらそうでもなかったりするし、難しい世界なんですね。けど、そこに不平不満を言っていてもしようがないし、本当に音楽が好きで、音楽一生懸命やっている、音楽で生計を立てていきたいと思っているミュージシャンたちをどうにかしたいっていう、組合じゃないですけど、そういうことから始めたのがムジログなんです。

音楽家による、音楽家のための新たな“場”づくり。

― 具体的にはどんな活動を?

そういったミュージシャンたちが集まって、アイデア出し合って音楽をつくって、その自分たちがつくった音楽を、使ってくれる人がいるなら使ってもらいましょうっていうところから始めています。本来、音楽家がもっと自分たちのやっていることを自分自身で宣伝していかなくてはいけない時代なんですが、それができない人たちが9割なんで、今はその音源をつくってる人たちが、どんな活動をしているのかがわかるようにライブの場をつくったり、共感してくれた映画監督に動画をカッコよく撮ってもらったりしています。

学校って言葉は嫌いなんですけど、秋からは実験的に教えるってこともやっていきたいなと。新しい、はちゃめちゃには新しくないですけど、今までとは違うアプローチの、ミュージシャンそれぞれの活動の打ち出し方だったり、新しい音楽カルチャーの側面からのアプローチだったりができたらと思っています。わいわい楽しく見えることが一番いいと思うので。

― ところで、野崎さんはどうやって音楽業界に?

大学では音楽を勉強しながら、ふざけたテクノグループをやってました。卒業したら音楽の仕事があるのかなって思ってたんですけど、卒業する頃になってそう簡単に仕事があるわけではないってことがわかってきたんですね。で、あるときクライズラー&カンパニー時代から好きだった葉加瀬太郎さんの公演がブルーノートであるって聞いて、よしそこに行って自分の曲が入ったテープを渡そうと思ったんです。その頃はJazztronikの原型になるような音楽をつくっていたんですが、その曲をカセットテープに入れて、ラベルのところに野崎良太って名前と電話番号を書いて。けど当然、知り合いでも何でもないし、23歳の若造だし、そう容易くテープを渡せる機会なんてないわけですよ。けど、これで帰るわけにはいかない。もう嘘つくしかない! って(笑)。


(野崎良太様着用アイテム)
SUIT ¥150,000(+TAX)
SHIRT ¥23,000(+TAX)
TIE ¥18,000(+TAX)
POCKET SQUARE ¥6,500(+TAX)

問い合わせ先/SANYO SHOKAI(カスタマーサポート)Tel.0120-340-460

PEOPLE PROFILE

野崎 良太(Jazztronik) Ryota Nozaki
Jazztronikとは野崎良太が率いる特定のメンバーを持たない自由なミュージック・プロジェクト。アーティスト活動をする傍ら、ピアニスト、作編曲家として映画、ドラマのサウンドトラックや多数のアーティストプロデュースも行い、クラシック、Jazz、クラブミュージックだけにはとどまらない独自の音楽性は国内外問わず多方面から評価されている。

本年は新たなプロジェクト野崎良太 with GOODPEPLE名義でアルバム「GOODPEOPLE」を葉加瀬太郎氏のレーベルHATSより1stアルバムを6/14にリリースする他、新しい音楽カルチャープロジェクト「Musilogue」を本格始動させる等、精力的な活動は多岐に渡る。

Jazztronik Official Web Site jazztronik.com
Musilogue Official Web Site musilogue.co.jp

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