思いの強さが人と未来をつなげる。─池貝知子(アイケイジー 代表取締役)前編
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思いの強さが人と未来をつなげる。─池貝知子(アイケイジー 代表取締役)前編

時代が注目するキーパーソンにポール・スチュアートが迫る「STYLE SESSION」。第8回目のゲストは、空間プロデューサーとしてグローバルに活躍する株式会社アイケイジー代表取締役の池貝知子さんです。建物にまつわるすべてを監修し、多くの人々に愛される空間を作り出すスペシャリストである同時に、社会の第一線で働く女性の鑑のような存在でもあります。ご自身の会社を立ち上げてから15年近く。人生のターニングポイント、これまで携わってきたプロジェクト、そしてビジネスを通じて心得たファッションスタイルなどについて語っていただきました。

Photo. Tohru Yuasa / Text. Yoko Yagi / Edit. Pomalo Inc.

建築以外のすべてに携わりたい気持ちが独立心へと変わっていった。

― 空間プロデューサーとはどのような職業でしょうか?

建築だけでなく、その建物に合うインテリアやアート、小物のスタイリングを手がけたり、販売スタッフが着用する制服にアドバイスをしたりと、空間として成立するために必要なことをすべてプロデュースします。30年ほど前はこの職業が日本ではあまりなじみがなかったかもしれません。建築は建築事務所で決める、インテリアはインテリア事務所で決める、といった具合に分業が当たり前で、空間全体をトータルで見る人も会社もなかった気がします。だから当時、建築事務所で働いていた私は建築だけしか携われない仕事に物足りなさを感じていました。

― 仕事に物足りなさを感じた理由は?

もともと親が外国人用に貸し家業をしていたこともあり引っ越しが多く、その影響で小さい頃から空間が変わることに興味を持っていました。次第にアートやデザインにも魅力を感じるようになり、それらを総合的に表現できる建築やインテリアの世界に憧れを抱くようになります。そして大学では建築を専攻。しかし海外の雑誌や映画に出てくる胸弾むようなインテリアを学ぶ機会に恵まれず、しびれを切らした私はダブルスクールで夜間の専門学校に通ってインテリアを学び直しました。やはりその頃から建物だけでなく、インテリアも含んだ空間全体、もっと言えば環境作りに関心があったのでしょう。

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しかし念願の仕事に就いても、内装のデザインや家具まで選定できても、その空間を演出する花瓶や本などのインテリア小物にまで携わることができません。パンフレットで載せる建築写真を撮影する時も、外部のスタイリストがインテリアの空間を作ったデザイナーの意図をくまないでスタイリングすることもよくあることで…。幅広い視野で空間作りに携わりたい。その思いが独立心にだんだんと変わっていき、27歳の時に思い切って退職しました。私の監修のもと、プロジェクトに合わせて理想のチームを編成し、理想の空間を作っていく。フリーランスになればその夢に少しでも近づけられると思ったからです。

― 27歳の若さで独立を決めたのは勇気のいることでしたよね?

実は結婚することも独立する決め手の一つでした。資金が少なくても何とかやっていけるだろうと。もちろん不安はありましたが、自分が本当にやりたい仕事をやりたい思いのほうが強かった。今も感じることですが、思いは大事ですね。思いが強ければ、たとえ技術や経験が乏しくても人の心に響きます。そして助けてくれます、本当に。ですからこれから独立やキャリアアップを考えている方は年齢を気にせず、自分の気持ちに素直に向き合い、挑戦したい時に挑戦したほうがいい。結果、良い方向に進むはずですから。私は身をもってそのことを知りました。

― 独立してからどのようなプロジェクトに携わりましたか?

住宅から飲食店、商業施設まであらゆる空間のお仕事をさせていただきました。年単位の長期プロジェクトがほとんどですのでどれも思い入れがありますが、中でも代官山T-SITEと蔦屋家電は世界の話題を集めたという意味で印象に強く残っています。オープン時は1日に3万人が訪れたと聞いて驚きました。今もなお多くの人が集まりにぎわいを見せているのでうれしいですね。インターネットが台頭する時代になっても人は実際のショップや商業施設に足を運んでくれることをこの二つが証明してくれて、空間プロデューサーとしての手応えと可能性を感じました。


(池貝 知子様着用アイテム)
TOP ¥26,000 (+TAX)
SKIRT ¥26,000(+TAX)
SCARF ¥15,000(+TAX)

問い合わせ先/ポール・スチュアート 青山店 Tel.03-3406-8121

PEOPLE PROFILE

池貝 知子 Tomoko Ikegai
株式会社アイケイジー代表取締役/空間プロデューサー

日本女子大学家政学部住居学科を卒業後、株式会社松田平田坂本設計事務所(現・松田平設計事務所)に入社。独立後、2006年に株式会社アイケイジーを自ら立ち上げる。住居や商業などの建物設計にとどまらず、土地選び、インテリアや照明のデザインとスタイリング、オーディオ環境の提案、庭の植栽やセキュリティの計画など携わる業務は多岐に渡り、その活動は国内外で注目されている。これまでに手がけた主なプロジェクトに代官山T-SITE(2011年)、蔦屋家電(2015年)、B&B ITALIA JAPANショールーム(2016年)などがある。

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