【MEN】ジャケットは仕事の相棒。仕立ての良さは、仕事のデキに比例する。 ─堀潤(ジャーナリスト)前編
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【MEN】ジャケットは仕事の相棒。仕立ての良さは、仕事のデキに比例する。 ─堀潤(ジャーナリスト)前編

時代が注目するキーパーソンにポール・スチュアートが迫る「STYLE SESSION」。 第1回は、フリージャーナリストの堀潤さんをゲストにお迎えします。 NHKという官僚的な組織から飛び出し、異端のジャーリストとして活躍する堀氏と、NYにおいて80年の伝統を持つポール・スチュアートとのセッション。 そこには一体どのような化学反応が見られるのか――。 ジャケットを“相棒”と呼ぶ堀さんに、仕事のこと、そしていい相棒の条件や選び方について伺うと、堀さんが大切にするもの、そのスタイルが見えてきました。前編・後編、2回に分けてお届けします。

Photo. Keiichi Suto / Text. Shizuka Horikawa / Edit. Pomalo Inc.

― テレビなどで拝見する堀さんはいつもスーツのイメージですが、普段はどんなスタイルが多いのでしょう?

NHK時代は、スタジオはもちろん取材現場も常にスーツ。スーツが作業着でしたね。そういう決まりがあったわけではないのですが、災害現場もスーツを着て出向き、その上からかっぱを羽織って取材していました。今は常にスーツというわけではありませんが、ジャケットを着る機会は多いですね。ジャケットは仕事の相棒です。衣装はお任せしないで、割りと自分で選ぶことが多いかな。基本的にモノトーンの服を着ることが多いので、今回のこのニットタイは新鮮です。夏っぽくて爽やか。たまにはこういうのもいいですね。

社会に期待が持てなかった学生時代

― 堀さんがジャーナリストを目指したきっかけは何だったのでしょう。

基本的に、社会に対して期待を持てない学生だったんですよね。世の中ほんと終わってるなって思ってて(笑)。けど、それ以上に、学生時代にやっていた塾講師のアルバイト先で会う小学生や中学生の子どもたちがみんな、さらに冷めてたんですよね。「どうせ社会ってこうなんでしょ」、「大人ってこうなんでしょ」って雰囲気に満ちてて。自分も冷めてはいたけど、いや、もうちょっとおもしろいよっていう気持ちも芽生えてきて、どうせだったら人の役に立つ仕事がしたいと思うようになったんです。

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大学の専攻がドイツ文学科のナチス・ドイツのプロパガンダだったんですが、ドイツと日本を比較していくと、第二次世界大戦前と後でまったく違うんですよ。戦前戦後の境界線があいまいな日本に対して、徹底的に民主主義を打ち出したドイツ。ドイツはメディアも戦前と戦後ではっきり変わりましたが、日本の場合主要メディアもそのままぬるっと変わらず今日まで来ています。今もメディア不信はありますが、僕が学生の頃はその先駆けみたいな時期だったんですね。社会の役に立つことがしたいけど、僕はあんまり頭が良くない(笑)。なので、医者になるとか弁護士になるとかいうのは選択肢としてなかったんですが、「どうしたんですか?」って、困っている人や助けを求めている人の話を聴くことはできるぞと。僕や子どもたちみたいに、世の中を信頼してない人たちをちょっとでも変えられたらいいなあと思ったんです。

― それでNHKに?

就職前に一度、ドイツに留学しました。ドイツ文学科なのにドイツ語もろくにしゃべれなかったんです(笑)。自分でもしょうもないなと思っていて、どうにかしようと考えたとき、もう行くしかないとドイツに向かいました。けど、しょうもない堀青年は、地元ヨーロッパの同年代の若者たちからはまったく相手にされず、いつもひとりで公園のベンチに座っていたんですね。すると、同じくドイツにやって来ていたロシア人のおばあちゃんがかたことのドイツ語で話しかけてきてくれたんです。互いにかたことのドイツ語で会話していたら、おばあちゃんが「日本は桜がある美しい国、いつか行ってみたい」とか、「東京はあこがれの街」とか言ってくれるのを聞いて、日本も捨てたもんじゃないなと思えたり、道に迷っていたら知らないおじさんが道案内してくれたりと、異文化の人たちに社会を信じる心を芽生えさせてもらえたんです。その経験も今の仕事の礎になっている気がします。

NHKアナウンサーになってから

アナウンサーって、ニュース読んでなんぼみたいなところがあると思うんですけど、僕、滑舌がすごく悪くて。スタジオちょっと苦手なんですよね(笑)。「それで」とか「ものの」とか、「などとして」とか、ニュースでよく出てくるやつ、言えないんですよ(笑)。元々、アナウンサーになりたいというよりは、取材して発信したいという思いが強かったので、最初の赴任先の岡山放送局では何か事件があれば自分で車を運転して現場に行って、ロケして、帰ってきて、編集して、原稿も書いて、番組にプレゼンするみたいなことをひたすらしていました。

新しい番組の立ち上げで呼ばれて東京に来たときも、事件が発生すると「堀いけるか?」という連絡が入って、「どこですか?」って聞きながら、とりあえずタクシー乗って現場向かうみたいな感じでした。一人でカメラを回して、目撃者を探したり、自撮りしながら現場の状況を伝えたり。それから本体のクルーが来て合流するっていうことをずっとやっていましたね。何かあったらすぐ取材に行けるようにカバンの中にはいつもムービーのデジカメを入れていました。警察より早く、とにかく鉄砲玉みたいにあちこち飛んでいましたね。

だから服は見た目だけじゃなく、着心地も重要。動きやすくなくちゃだめなんです。あと頑丈というか、丈夫なことが第一条件。襟とか、すぐぼろぼろになっちゃうのでね。やっぱり、仕立てがいいものは頑丈ですよ。ポール・スチュアートのドレスシャツも持っていますが、着心地もいいし、生地も丈夫。着ていても蒸れないですし、そう簡単に破れない。ちゃんとしているドレスシャツは着るだけで気持ちも見た目もぴしっとしてくれる気がしますね。

― ところで、NHKを退社した理由は?

せっかく取材したニュースを、いろんな事情で伝えられないことに耐えられなかったんです。「そのネタ使えないよ」とか、3人分の証言を取っているのに「時間がないから一人にしよう」とか「このネタは今はやめておこう」ってことが度々あって。ニュース素材って、そのときその局で放送されなかったらお蔵入りになるんですよ。すっごいいい企画なのに。現場の人たちに絶対伝えてくださいって言われてるのに。伝えられないことが辛くて。当時は、兎にも角にも伝えたいっていうのが大きかったんです。「今、伝えられないことがあっても、お前が偉くなったら伝えられる。偉くなったらなんでもできるようになるんだから」と、上司にも止められましたが、偉くなりたいわけじゃないし、出世ストーリーと現場の声は全然違う話ですから。それで辞めることにしました。

― 迷いはなかったのですか?

決めてからはなかったです。朝決めて、局に向かう満員の横須賀線の中で、まず「辞表の書き方」って検索しました(笑)。


(堀潤様着用アイテム)
JACKET ¥73,000(+TAX)
TROUSERS ¥26,000(+TAX)
SHIRT ¥25,000(+TAX)
TIE ¥13,000(+TAX)

問い合わせ先/ポール・スチュアート 青山店 Tel.03-3406-8121

PEOPLE PROFILE

堀 潤 Jun Hori
ジャーナリスト/ NPO法人「8bitNews」代表/「GARDEN」代表
1977年生まれ。立教大学文学部ドイツ文学科卒業後、2001年NHK入局。「ニュースウォッチ9」リポーターや「Bizスポ」キャスターを経て、2012年、UCLAの客員研究員として渡米。日米の原発メルトダウン事故を追ったドキュメンタリー映画「変身 Metamorphosis」を制作。2013年NHK退局後、市民参加型動画ニュースサイト NPO法人「8bitNews」を立ち上げる。現在、TOKYO MX「モーニングCROSS」キャスターやJ-WAVE「JAM THE WORLD」ナビゲーターとして活躍する傍ら毎日新聞やananなどで多数連載を持つ。また最近公益事業者を支援するプロジェクト「GARDEN」を立ち上げるなどその活動は多岐に渡る。

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