ビジネスマンに必要なのは人間力─長瀬次英(日本ロレアル デジタル戦略統括責任者/CDO)中編
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ビジネスマンに必要なのは人間力─長瀬次英(日本ロレアル デジタル戦略統括責任者/CDO)中編

時代が注目するキーパーソンにポール・スチュアートが迫る「STYLE SESSION」。第7回目のゲストは長瀬次英さん。現在は、日本ロレアル株式会社デジタル戦略統括責任者/CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)として、社内におけるビジネスのデジタル化を進めるべく、その牽引役を一手に担っています。そして前職はインスタグラム・ジャパンの日本事業責任者という、まさにデジタル業界の寵児と言っても過言ではない華やかなキャリアの持ち主。でも本人いわく、そのビジネススタイルはデジタルとは真逆の"アナログ"であり、なおかつ実に"泥くさい"ものだったのです。

Photo. Tatsuya Yamanaka(Q+A) / Text. Kei Osawa / Edit. Pomalo Inc.

NQは若いころから時間をかけて作るもの

― 仕事をする上で大事にしていることは何でしょう?

やはりビジネスもソーシャルも何でもそうですが、最終的には人間関係ですね。だって、デジタルやソーシャルを通じて誰かと繋がっても、そこにビジネスが生まれることは絶対に無いですし、もし仕事をするなら絶対にどこかで一度は会いますよね(笑)? ネット社会の今ではとてもアナログな考えですが、このアナログな部分を忘れないことこそ、デジタル社会を生き抜く上で最も重要なことだと思います。アナログだと、何をするにもそれを楽しむまでのプロセスを知ることができるわけです。逆にプロセスを知らずにビジネスをすることはすごくリスクが高いです。例えばデジタル時計しか知らないと、時間のずれや遅れていることへの危機感は恐らく皆無ですよね。だってデジタルは時計が止まるないしズレるということはまずないわけだから。でもアナログ(自動巻きなど)の場合は時計の針を少し進めていたりするという、知恵があるじゃないですか。その知恵がある分、アナログの方が優秀というか、リスクに対するカバー/妄想の範囲が広いと思うんです。そういう部分こそ、ビジネスでは重要になってくるのです。

― では若い人のコミュニケーション能力の低さが嘆かれていますが、それは危機感をもつべきであると?

そう思います。実際私もCDOとして雇われていますが、会社から求められている大きなものとしてはアマゾンさんやフェイスブックさん、敷いてはシリコンバレーのどこどこの会社とビジネスの関係を作りたいなど、やはり根幹は人間関係から始まるものですよね。今まで日本ロレアルは自分たちだけで良いものを作って売っていただけなのですが、今はもうそれだけでは成り立たない時代なので、やはりアマゾンさんやフェイスブックさんと仲良くして、上手く商品が売れるようにしてもらいたいとか、どんな写真がインスタ映えするのかとか聞かなければいけないですし。結局今は、誰かの手を借りて支えあってビジネスをしなければならない世の中になっているので、そうなると人間力やコネクションやネットワークをもっている人が重要になってくるんですよ。時代ごとに重要視される能力があって、昔はIQ(intelligence quotient)、その次はEQ(emotional quotient)、そして今はNQ(network quotient)。でも人間関係など、NQの資質はすぐに作れるものではないので、若いころから意識して作ることが大事だと思います。

― ご自身は若いころから意識してNQを高めていったのですか?

そうですね。IQもEQも低いので(笑)そう、会社を6回変えても、前の会社と仲良くしていくことは重要です。だからこそ自身のキャリアの為だけでなくその会社にきちんと貢献した事が大事になりますよね。以前フェイスブックにいたから、今のポジションに雇われているということも大きな要因だと思いますし、そうなるとFacebookとの関係はよくないといけない。会社を追われたり、悪い影響をもたらしたような人間は絶対に次に重要なポジションとして雇われないですから。

― 失礼を承知でうかがいますが、お話をお聞きして長瀬さんは今まで順風満帆な人生を歩んでいるという印象を受けましたが、仕事で挫折したことはあるのでしょうか?

ありすぎます(笑)。ただ挫折というふうに捉えないようにしようと考えていました。いちいちおなかが痛くなってもしょうがないですし、常にポジティブに考えるようにしていますよ、鈍感力的なものもありますかね。やはりトライ&エラー、テスト&ラーン、失敗をしても学べただけいいという感じですかね。他から見たら挫折みたいなことでも、自分の中ではそうは捉えていないという。ビジネスに大事なのは人間関係であるとさっき話しましたが、そういう挫折を繰り返しても、ある一定のIQやEQの高い人たちがつねに周囲にいてくれるので、そこで支えられている部分は大きいと思います。自分を守ってもらう、そういう意味でもやはり人間関係は大事なのです。

世界に伝えたい"JAPANESE SALARYMAN STYLE"

― そんな長瀬さんにとって有能なビジネスマンとは?

一瞬、「僕です」って言いそうになりましたよ(笑)。まあ冗談はさておき、やはり人間関係をおろそかにしない人ですね。有能な人はそういう付き合い方をずっとしていると思うんですよね。僕の上司も同僚も多くはフランス人ですが、相手が日本の会社の日本人であれば日本人のメンタリティーと文化に合わせて積極的に関係構築を進めていますし、日本の会社に勤めていたときは尚更そうでした。それこそ人をもてなしたり、接待して飲みに行ったりしていましたし、それは今のデジタルな時代でも変わりません。そういう部分をわきまえて作法を熟知しているというか、人間関係を作るのが上手な人は日本のビジネスのリーダーに多いと思います。

― 長瀬さんはビジネスマンとして、今後どうありたいと思っていますか?

僕はいわゆる「サラリーマン」が最高だと思っていて、それを多くの人にわかってもらいたいです。正直、こんな気楽な仕事ってないですよね?(笑)、極端な話、仕事をしなくても、よく喫茶店とかでさぼっているサラリーマンさんも給料はちゃんともらえるわけですから(笑)。もちろんそんないい加減な事では幸先は良くないと思いますが。 逆にトップないし自分の会社とかだと会社を背負うその責任は重大です、そう考えると僕はいつもナンバー2狙いですけど(笑)。雇われて、ある程度守られた自由な環境を与えられている、それこそがサラリーマンの醍醐味だと思いますね。であればもっと楽しんだ方が良い!でもなぜか日本でのサラリーマンはイメージが悪いんです、元気が無いんですよね。なりたい職業にサラリーマンって子供から出てきませんよね?だから僕のように、こんなにもサラリーマンを楽しんでいる人がいるということを知ってもらいたいです。これはお金がある無いではなくてマインドセットや視点によるものです。TPOに合わせてスーツも着ますが、なるべくサラリーマン生活の楽しさを表現するのに、あまりサラリーマンっぽくしないでおこうとは思っています。実際によく生活感が無いと言われてしまいます (笑)スーツでバシっと決めた写真や、その真逆のクダけた写真をインスタグラムにアップすることで「この人は何者?」って思われるのも好きで。だからハッシュタグも♯JAPANESESALARYMANSTYLEを付けて出しています(笑)。これは、日本のサラリーマンが元気で一番楽しめる仕事であるということに気づいてほしくて、あえてやっています。


(長瀬 次英様着用アイテム)
SUIT ¥230,000(+TAX)
SHIRT ¥21,000(+TAX)
TIE ¥19,000(+TAX)
POCKET SQUARE ¥7,000(+TAX)

問い合わせ先/ポール・スチュアート 青山店 Tel.03-3406-8121

PEOPLE PROFILE

長瀬次英 Tsuguhide Nagase
日本ロレアル株式会社 デジタル統括最高責任者/CDO(チーフデジタルオフィサー)

1976年兵庫県生まれ。中高校6年間はアメリカで過ごした後、日本に帰国し中央大学総合政策学部を卒業。その後、KDDIやJ. Walter Thompson、Unilever JAPAN、NuSkin、Facebook、Instagramといった世界的企業で要職を歴任。2015年10月より現職に。現在はCDOとして、社内の全組織、そしてビジネスのデジタル化の旗振り役を担っている。日本ロレアルでは「KERASTASE」「LANCOME」「Maybelline NY」「LA ROCHE-POSAY」などのブランドで化粧品やスキンケア、香水などを輸入、製造、販売を展開。

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