作品を通じて伝える信じることの大切さ─小松美羽(現代アーティスト)前編
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作品を通じて伝える信じることの大切さ─小松美羽(現代アーティスト)前編

時代が注目するキーパーソンにポール・スチュアートが迫る「STYLE SESSION」。第10回目のゲストは、国内外で活躍する画家で現代アーティストの小松美羽さんです。華奢で美しい顔立ちから紡ぎ出される作品はどれもダイナミックで神秘的なオーラーを放ち、観る人の心を揺さぶります。まさに才色兼備の女性とは彼女のことを指すに違いありません。芸術家をはじめ優れた才能の持ち主は常に孤独との戦い。小松さんはどのように自己と向き合い、人々を魅了する作品を生み出しているのでしょうか。確固たる姿勢を貫く彼女の魅力に迫ります。

Photo. Hideyuki Seta / Text. Yoko Yagi / Edit. Pomalo Inc.

自然の流れで歩んできた、芸術家への道

― 10代の頃はどんな日々を過ごしていましたか?

ふるさとの長野は平均標高が一番高い県なので、他の都道府県に比べると大きな山がたくさんあると思います。当時は全然感じませんでしたが今振り返ると、自然が豊かなところで育ったんだなと感慨深い気持ちになりますね。私の家族は3人兄弟でみんな絵を描くのが大好き。でも描くのは自然ではなく、一緒に住んでいたうさぎやハムスターたちがもっぱら。動物図鑑や昆虫図鑑を見て描くのも好きでしたね。それと母に連れられてよく行ったのが美術館。これは私にとって大きな影響を与えました。絵を描いた後に大きな空間に飾られて様々な人の目に触れられることもあるんだとか、たくさんの人を夢中にさせる作品をつくる人もいるんだとか。いつか自分もそういう存在になりたいな、と幼いながらも思っていました。また母は美術館だけでなく神社仏閣にもよく連れて行ってくれて、日本の伝統や精神を肌で受け止めた気がします。

― 小松さんのルーツはやはり10代にありますね。

そうですね。中学生の時、道に迷うとどこからともなく山犬(※ニホンオオカミや送り犬とも呼ばれる)が現れて、後をついていったら家に無事戻ってこられたことが何度かありました。でもある吹雪の日、雪道で足をとられて地面を見たら先導してくれる山犬の足跡がないことに気づいて思わず「あっ」と言ったら、山犬はその場でぐるぐるっと回って消えてしまいました。見えないものを見たというか……。

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後日、近所の神社に行って入り口で構える二匹の狛犬を見て、あの山犬はこの神社や狛犬を依り代(※神が宿る物体や場所)にしているんだろうなって思ったらすごく興味が湧いてきました。それから狛犬を探して絵を描く日々が始まり、次第に狛犬を含む神獣について関心を持つようになります。この世とあの世を行き来し、その境目の人間に近いところにいる珍しい存在。調べるほどに描きたい気持ちがあふれてきました。

― どのタイミングで画家になろうと思ったのでしょう?

画家になろうという意識はありませんでした。自然の流れと言いますでしょうか……気がつけば芸術の道を歩んでいました。けれども今もそうですが、作品を描くというよりも、自分が生きるうえでの役割として神獣を描かせていただいている感覚です。神獣は肉体を通り越して魂を見つめながらあの世とこの世を行き来しています。私たちは彼らとつながることで、私たちの祈りは昇華されていくと思うのです。見えない力を信じる。信じることの大切さ。そんな人間の本質的なところ、普遍的なところと神獣は深く結ばれている。そのことをこの世にいるみなさまに絵を通じて伝えていくことが私の役割。その意識のもとで絵を描かせていただいている感じです。

― その意識は10代の頃からお持ちでしたか?

いえいえ、大人になってからです。若い頃はなぜ自分が狛犬や神獣を描くのか、自分自身もよくわかっていませんでした。長野から東京に出てきて大学を卒業し、社会を学びながら絵を描いているうちに内面を磨こうとする気持ちがだんだんと芽生え、鍛錬を少しずつ重ねていったら、あぁ自分は大きな流れの中で役割として絵を描かせていただいているんだ、と。だから私にとって絵を描くことは、ご神事(神に関するまつりごとや儀式)の一つだと思っています。


(小松 美羽様着用アイテム)
COAT ¥180,000(+TAX)
JACKET ¥66,000(+TAX)
BLOUSE ¥23,000(+TAX)
SKIRT ¥33,000(+TAX)

問い合わせ先/ポール・スチュアート 青山店 Tel.03-3406-8121

PEOPLE PROFILE

小松 美羽 Miwa Komatsu
現代アーティスト

1984年長野県生まれ。2004年に女子美術大学短期大学部を卒業。学生時代に手がけた銅版画「四十九日」が高く評価されて話題を集める。2014年に出雲大社に絵画「新・風土記」を奉納し、拝殿に展示。同年、長野県の上田市立美術館にて個展を開催する。2015年、庭園デザイナーの石原和幸氏と協同で制作した有田焼の狛犬「天地の守護獣」がイギリスの大英博物館に所蔵。2016年、ニューヨーク日本クラブで行ったライブペイント作品がワールドトレードセンターに常設展示される。現在は東京と長野に拠点を置き、ニューヨークや香港、台湾などで個展の開催や世界のアートフェアに出品するなどワールドワイドに活躍中。2017年2017年11月18日(土)~12月3日(日)、銀座のホワイトストーンギャラリーで「創業50周年記念 銀座新館オープニング展 小松美羽特集」を開催。18日(土)~19日(日)は在廊予定。そのほか最新情報はホームページ(http://miwa-komatsu.jp/)で。

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