東京の “カルチャーエンジニア”というスタイル。─中村貞裕(トランジットジェネラルオフィス代表)後編
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東京の “カルチャーエンジニア”というスタイル。─中村貞裕(トランジットジェネラルオフィス代表)後編

時代が注目するキーパーソンにポール・スチュアートが迫る「STYLE SESSION」。 第5回目のゲストは、トランジットジェネラルオフィス代表・中村貞裕さんです。カフェやレストラン運営から、ブランドカフェやホテルのプロデュース、さらに日本初上陸レストランを次々に手掛けるトランジットジェネラルオフィス。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いと言うのに相応しい、いま最も熱い会社を牽引する中村さんの魅力に迫りました。

Photo. Keiichi Suto / Text. Shizuka Horikawa / Edit. Pomalo Inc.

トランジットジェネラルオフィスのこれから。

― とどまることを知らない勢いのトランジットジェネラルオフィス。ここだけの話。今後、どんなことを企んでいるのでしょう?

日本初上陸モノでやりたいのは今4つぐらいあります。それと社内外からホテルをやってほしいっていう声が多いので2つぐらい仕込んでいます。あと、スタッフ的に次はワールドベストレストランとか、ミシュランを狙うみたいなことがしたいっていう声が出ているので、それは社員の成長や能力に合わせて、社員のためにやってあげたいなと思っています。そんなこんなで3年後ぐらいまではイメージがありますが、その先こうっていうのがあるわけじゃないんですよね。何がやりたいっていうより、できることがやりたくなるんです。
物書きができれば、自ずと書きたくなっちゃうのと一緒で、日本初上陸モノをやれるノウハウがあればやりたくなっちゃう。けど、10年前それはやりたいことではなかった。やれるようになっちゃったからやりたくなっちゃったんです。10年後に何をやりたいかって言ったら、そのときできることをやりたくなると思う。少なくとも、今よりできることがたくさんあると思うので、いま僕が考えているレベルじゃないことができてる会社になってると思うんです。というか、なってなきゃいけなくて。今できることを精一杯やってたら3年ぐらいあっという間に経っちゃいますからね。そうこうしてるうちに、いいスタッフも増えるし実績も増える。だから3年先ぐらいまでしか考えてないです。

― オリンピックも控えていますが、東京をどうしていきたいですか?

イベントやったりはするかもしれないけど、オリンピックは特に意識してないんですよね。オリンピックが開催されるたった2週間のためにふりまわされたくはないから、実はそこにはあまり興味がなくて。ただ、東京に生まれて、大学もずっと東京を中心に遊んでいて、就職先も伊勢丹で、転勤もなくずっと東京にいて、独立してからもずっと青山界隈、東京で。まあ、東京が好きなんです。じゃあ、今なんで好きかっていうと、ビジネスで成功しやすいから。
PRもメディアも知り合いも多いし、何よりお客さんがたくさんいるから、僕が成功するのは東京でビジネスするのが一番なんですよ。東京が盛り上がっていると僕が成功する確率が高い。東京がダメになっちゃうのはイコール僕がだめになっちゃうのと一緒なんです。僕の拠点だし今のすべてだから、海外のイベントが東京じゃなくて先にソウルとかシンガポールに行っちゃったりすると不安になるんですよね(笑)。東京であるとほっとする。誰かのアジアツアーに東京が入ってないと、それはもう相当焦るわけですよ。

世界は国別でなく、都市別で見る。

僕みたいな仕事する人って、国別で見てる人っていなくて、みんな都市別で見てるんですよ。たとえば、スペインに行きたいじゃなくて、バルセロナに行きたいとか、サンセバスチャン行きたいとか。モノでもメイドインUSAなんて興味はなくて、メイドインポートランドとか、NYから来たとかのほうが絶対によくて。みんな都市で見てる。それでいくと、東京のコンペチターはNYとロンドンで、パリは僕の中で京都なんです。で、僕的にNYにあるものは東京になくちゃいけないし、さらに東京から街別でいうと、五番街にあるものは銀座になくちゃいけないし、ソーホーにあるものは青山になきゃいけないし、ブルックリンはイーストとか言う人もいるんですけど、僕の中では中目黒で、中目黒になくちゃいけない。なんていうか愛国心って特にないんだけど、都市心はあるんですよ。もちろん最終的にはジャパニーズのエッセンスは入れるんですけど、あとは同じでいいんですよ。なんかNY化するとか、東京化するとかじゃなくて、世界の最先端都市として、東京が在りつづけることに生きがいを感じてるんです。だから、うちの会社のサブタイトルはカルチャーエンジニアリングカンパニーなんですよ。

― カルチャーエンジニアとは?

僕の肩書って、少し前まではカフェオーナーで、それまでは伊勢丹。クラスカとかやってたら空間プロデューサーみたいに呼ばれるようになったんだけど、なんかピンとこなくて。で、そのうち空間ブランディングプロデューサーとか呼ばれたりもしたんだけど全然広まんないし、なんかおかしいなと自分でも思ってたんですね。で、それからビルズとかやってたらパンケーキの人だとか、最近ではかき氷の人だ、みたいになっちゃってるんだけど、あるときロスの友だちに、「中村くんは何かをつくって、世の中に出して終わりのプロデューサーじゃない。オペレーションまでして街に影響を与えている。そういうのをカルチャーエンジニアって言うんだよ」って言われたんです。それまでそんな言葉使ったこともなかったんですけど、それから会社のサブタイトルをカルチャーエンジニアリングカンパニーにしようって思って。
うちの会社は今まで日本になかったようなカルチャーを根付かせながら、街に文化をつくっていく会社にしたいと思って、言いはじめて早1年半か2年ぐらい経つんだけど、浸透しなくて(笑)。けど、各都市にそういう人とか会社ってあるんですよ。シンガポールにも、シドニーにも、香港にも、タイにも、NYにも。その都市、その時代にカルチャーエンジニアっていて、で、各都市のそういう人たち同士が仲良くなって世界が広くなる。映画監督切りで映画を観るように、カルチャーエンジニア別で都市を見ると、けっこうおもしろかったりもして。その街に一気に詳しくなれるんです。

東京のカルチャーエンジニアであり続ける。

― 中村さんはまさに東京のカルチャーエンジニアですね。

それを自分で言うとかっこ悪いんで、極力言わないようにしてるんだけど、あまりにもこの言葉が浸透していかないので、たまにこういう話をするんです(笑)。会社のことを説明するとき、日本人には伝わらないけど、カルチャーエンジニアって言うと外人には伝わりやすいんです。とにかく人に会うのがすきなので、はじめて会った海外の人に自分を伝えるときには便利なんですよね。
僕ってさみしがり屋とかじゃなくて、基本的に全般通して人が好き。人こそが僕の仕事のモチベーションですね。この歳になって友だちを増やそうとしてるわけじゃないんだけど、この歳になると共通の趣味もそんなに持てるわけじゃないし、素晴らしい友だちや仲間をつくるのには仕事を通すのが何より手っ取り早いんですよ。というか、仕事を通したほうが仲良くなれる。男性女性問わず魅力的な人と出会ったら一緒に仕事をしたいと思うし、その人と仕事をすることによって、仲間になっていくのが楽しいんです。もし、僕が人嫌いになったらこの仕事をやめるときですね。からだを崩さない限り、このやり方はつづけていくつもりです。

― 最後に、東京のカルチャーエンジニア兼誰よりも東京を愛する中村さんが、東京で一番好きな場所を教えてください。

表参道ですね。オフィスもあるし、街を歩けば人にも会うし、ジムや行きつけのマッサージも2軒あるし、買い物もできる。ポール・スチュアートもありますしね。最近全然行ってなかったんですが、久しぶりに行きたくなりました。トラッドな感じですよね。気分的にそういうファッションの気分なので。本当に近々買いに行きますね(笑)。

― ポール・スチュアートがスタイルを追求し、進化させ続けるように、 トランジットジェネラルオフィスが“日本初上陸”を仕掛け続ける裏側には、東京の“カルチャーエンジニア”という独自のスタイルがありました。今回、中村氏が着用したのはポール・スチュアートのトラベラーズシリーズ「STUART’S TRAVELER」。軽くてシワになりにくく持ち運びに便利な上、さらに通気性、伸縮性、撥水性が揃って抜群なこのセットアップは世界中を飛び回る中村氏にこそ、ぜひ着ていただきたい一着です。


(中村 貞裕様着用アイテム)
JACKET (STUART'S TRAVELER) ¥49,000(+TAX)
TOP ¥18,000(+TAX)
TROUSERS (STUART'S TRAVELER) ¥23,000(+TAX)

問い合わせ先/SANYO SHOKAI(カスタマーサポート)Tel.0120-340-460

PEOPLE PROFILE

中村 貞裕 Sadahiro Nakamura
TRANSIT GENERAL OFFICE代表/カルチャーエンジニア
1971年東京生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、伊勢丹へ入社。2001年に「ファッション、音楽、デザイン、アート、食をコンテンツに遊び場を創造する」をコンセプトに掲げ、現在のトランジットジェネラルオフィスを設立。「Sign」を皮切りに、「ディーゼル」、などのブランドのカフェ、また「bills」や「MAX BRENNER CHOCOLATE BAR」、「ドミニクアンセルベーカリー」、「ICE MONSTER」、「GYG」などを展開。今年、日本初上陸レストラン「FRATELLI PARADISO」や、「Longrain」をオープン。著書には「中村貞裕式 ミーハー仕事術」も。

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