デジタル時代に生き残るのはアナログなビジネスマン─長瀬次英(日本ロレアル デジタル戦略統括責任者/CDO)前編
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デジタル時代に生き残るのはアナログなビジネスマン─長瀬次英(日本ロレアル デジタル戦略統括責任者/CDO)前編

時代が注目するキーパーソンにポール・スチュアートが迫る「STYLE SESSION」。第7回目のゲストは長瀬次英さん。現在は、日本ロレアル株式会社デジタル戦略統括責任者/CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)として、社内におけるビジネスのデジタル化を進めるべく、その牽引役を一手に担っています。そして前職はインスタグラム・ジャパンの日本事業責任者という、まさにデジタル業界の寵児と言っても過言ではない華やかなキャリアの持ち主。でも本人いわく、そのビジネススタイルはデジタルとは真逆の"アナログ"であり、なおかつ実に"泥くさい"ものだったのです。

Photo. Tatsuya Yamanaka(Q+A) / Text. Kei Osawa / Edit. Pomalo Inc.

― 『インスタ映え』で社会現象になっているほど人気が高い、今をときめくインスタグラム・ジャパンから、日本ロレアルに転職したきっかけは何だったのですか?

こう言ってしまうと身も蓋もないですが、単純にご縁ですね(笑)。もちろん、タイミングが合うということが前提ですけど。私は今の会社で6社目なのですが、どの会社の時も常に具体的な目標を自分の中で設定していて、それをクリアしたら、もっと自分が冒険できるような仕事はないか探すという、クセというか特技(!?)がありまして(笑)。前職のときもそうで、ある程度仕事が目標としていたところまで達成し軌道に乗ったところで、日本ロレアルさんからよりチャレンジングなお話をいただいたというのが最初ですね。

― では現在も、目標を達成して軌道に乗れば、また次のステージへ?

そうですね。じっくり考えてはいませんが、キャリア構築というものは頭の片隅にはつねにあります。毎回新しい仕事に就くたびに、目標と自分がその会社で提供すべき事柄を決めているのですが、予定よりも早くゴールできてしまう場合など色々あります。

― お仕事に対して、いつからそういうスタンスなのですか?

もうずっと前からですね。僕は30代後半で企業の社長になりたいと昔から思っていて、しかもただの社長ではなく、自分がその年齢(30代後半)になったときに、一番人気のあるホットな業界の企業の社長や代表になることに憧れていました。そんな人気企業で若くして社長になるためにはどうすればいいかを考えときに、マーケティングや営業など、色々な仕事を一通り経験した人でないと社長になれないということはわかっていましたから、僕はその経験をするためには、その経験をさせてくれる企業へ転職をするのがベストだと思っていたのです。だからそのために転職を繰り返していました。もちろん一つの会社で全ての経験がある一定のスピード感を持って得られるのであれば転職などは必要ないとも考えております。

― ステップアップのためのプランが明確ですね。日本には、そういうビジョンを持ったビジネスマンは多いのですか?

いや、少ないと思います(笑)。僕の場合はつねにアンテナを張りつつ、色々な先輩やヘッドハンターさんたちに対して「30代後半で社長になる」って言っていたので、そういった方々に積極的にアドバイスをもらったり、サポートをしてもらっていたというのはかなり珍しいケースだと思いますね。

― 現職でのお仕事の魅力は何でしょう。

via pattern_6
これまでこの会社がやってきたことのないビジネス方法を展開していくということに大きなチャレンジがあるのですが、そこが魅力的ですね。いま率先してデジタル化に取り組んでいるのですが、このCDOというポジションもまだ珍しいので、このポジションをある程度確立/構築しながら、今後のビジネスを進めて行くことも新たな魅力的です。ほかの会社にもCDOさんはいらっしゃいますが、同じCDOでも僕とはちょっとちがうなと思っていて。
僕の場合はマーケティングやセールスだけをやっているわけではなく、工場のAI化だったり、サプライチェーンをより効率よく回すためにクラウドを採用するとか、社員の教育や採用方法などもデジタルツールやサービスを用いて、会社の動き方を変えていくところまで関わっていきます。そうすることで、会社全体のデジタルの部分に携われるということが本当に面白いですね。

「インスタ映え」は企業努力の賜物

― 『インスタ映え』が社会現象になっていますが、元インスタグラム・ジャパン事業代表の長瀬さん。いまの心境は?

それは素直に嬉しいですよ(笑)。あとインスタ映えという言葉は社会現象ではなく、インスタグラムがフィードのクオリティーを保とうとする努力の結果だとも思います。これで改めてわかったことは、特に日本人は美しいものや珍しいもの、面白いもの、こだわりがあるものにしか興味をもたない傾向がつよいということ。だからナイトプールなどは見栄えも良いし物珍しかったせいか、今夏はすごい人気がありましたよね。あと面白いのが、インスタグラムにフォトジェニックな要素が必要であるということを、インスタグラムをやっている人たち自身がアップする写真を通じて、お互いに無意識に教え合っているということですよね。そのおかげでキレイなものや、アーティスティックなものしか載せない。だからインスタグラムが立ち上げたときに、最初はコミュニティを作って大切に育てていく活動をおこなっていたのですけど、その際にまずカメラ/写真コミュニティに注目しました。

― なるほど、それは良いアイデアですね。

そうするとフィールドが美しいものやアーティスティックな写真で埋まっていきますから。そして多くのユーザーが次第に美しい写真以外の、例えば画的に特にこだわりのないラーメンの写真とかも投稿されていくのですが、でも特にいいねがつかなかったり、フォローが増えない、見られていないことがわかってくるんですよね。きれいなものを撮ってアップすると「いいね」を押してくれるということを、みんな経験的にわかってくるわけです。だからインスタグラムのプラットフォームの責任として、サービスクオリティーを下げないためにも写真の上手な人をどんどん取り入れて、遊んでもらうための努力をしていました。フェイスブックでも何でも、日本はサービスを持ち込むのに最も面倒な国なのです。言葉も変えなきゃいけないし、サービスに求めるエクスペクテーションが高いのでちょっと使い勝手が悪いだけでも叩かれますし(笑)。でもインスタグラムはちょっと別モノで、浸透して人気が出るまでが早かったですよね。それはもともと日本人が写真を好きであることと、英語を読まなくてもいいということも要因の一つなのです。ひと目でわかる写真でのコミュニケーションが本能的に得意で、漢字もピクトグラム(象形文字)ですしね、基本的に絵/画が好きなのだと思います。そういった部分を上手にプラットフォーム側は汲み取って、サービスとして使われのちに『インスタ映え』という言葉が生まれるくらい大きなカルチャーになったことは、まさに企業努力の賜物だとも思います。


(長瀬 次英様着用アイテム)
SUIT ¥230,000(+TAX)
SHIRT ¥21,000(+TAX)
TIE ¥19,000(+TAX)
POCKET SQUARE ¥7,000(+TAX)

問い合わせ先/ポール・スチュアート 青山店 Tel.03-3406-8121

PEOPLE PROFILE

長瀬次英 Tsuguhide Nagase
日本ロレアル株式会社 デジタル統括最高責任者/CDO(チーフデジタルオフィサー)

1976年兵庫県生まれ。中高校6年間はアメリカで過ごした後、日本に帰国し中央大学総合政策学部を卒業。その後、KDDIやJ. Walter Thompson、Unilever JAPAN、NuSkin、Facebook、Instagramといった世界的企業で要職を歴任。2015年10月より現職に。現在はCDOとして、社内の全組織、そしてビジネスのデジタル化の旗振り役を担っている。日本ロレアルでは「KERASTASE」「LANCOME」「Maybelline NY」「LA ROCHE-POSAY」などのブランドで化粧品やスキンケア、香水などを輸入、製造、販売を展開。

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