表現の根底にあるのはまっすぐなエゴイズム―村松亮太郎(NAKED Inc.代表)後編
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表現の根底にあるのはまっすぐなエゴイズム―村松亮太郎(NAKED Inc.代表)後編

時代が注目するキーパーソンに、ポール・スチュアートが迫る「STYLE SESSION」。今回のゲストは村松亮太郎さん。クリエイティブカンパニーNAKED Inc.代表で、2012年に開催された東京駅3Dプロジェクションマッピング『TOKYO HIKARI VISION』を筆頭にさまざまな場所で空間演出をする一方、映画やMV製作なども手掛けるマルチクリエイターだ。今回そんな村松さんがポール・スチュアートのスーツを初体験。スーツやファッションへのこだわりに加え、現職に至るまでの経緯と将来への展望などをうかがいました。

Photo. Tatsuya Yamanaka(Q+A) / Text. Kei Osawa / Edit. Pomalo Inc.


目的が明白だからこそ挫折を挫折と思わない


― ただやりたいと思ったことをやってきた結果、今のこの状況っていう。

そうですね(笑)。だからいまだに自分の職業を説明できないですし、役者になりたいとか映画監督になりたいとか、そういうものではなく単純に映画を作りたいから作る、空間演出をしたいからするっていう。僕の場合は『to be』でなく『to do』の感覚にしたがっているだけです。

― 今までで味わった最大の挫折はなんでしょう?


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わかりやすい挫折ってあまりないんですよね。ただ兄には言われたのですが、挫折を挫折と思っていないんじゃないかっていう(笑)。例えば役者をやっているときなどは、時代はトレンディドラマ全盛期でしたから、映画だけをやりたいっていう自分の主張が所属事務所には通らないわけですよ。そうすると事務所の社長とモメるわけで。4年間俳優活動をしたのですが、1年に1回事務所を変えることになって。1年に1回事務所を辞めるたび、全てがゼロにリセットされていたから、その時期はキャリアとして何も進歩していないわけです。当時の僕はまったく感じていませんでしたが、今思うとその時期は僕にとって挫折と言えるのかもしれないですね。

― ではクリエイターとして、これまでの経験を通じて得たものは何ですか?

得たというかわかったことなのですが、映画でも空間演出でも何でも、僕は作品を製作するときはいつも、今までにない全く異なるテイストのものを作るタイプなのです。でもいざ仕上がりを見てみると、結局根底に流れているテーマが同じだったりするんですよね。どれだけ変えても、作品を通じてあぶり出されちゃうんですよ。結果、それが個性なのだと気づきました。だからスタイルや個性をあえて主張をしなくても、僕が作るものはどうやっても僕になってしまうんです。僕は色んなことにこだわりをもたない方ですが、強いていえばそれが僕のこだわりであり、スタイルなのかなと思います。



今年で会社設立20年。表現の場も日本から世界へ


― 今後はそのスタイルを意識した上で、物作りをされていくわけですか?

どうでしょうね。スタイルに縛られたくはないですが、良くも悪くも必ず作品に表れてくると思います。今はとにかく、無駄なものを含めて膨大なインプットとアウトプットを繰り返していきたいです。その結果としてスタイルが削がれればそれでいいし、その逆でもいいし。だから、そのための無駄ってすごく重要なことだと思います。そもそもアート自体が必ずしも生きるために絶対的に必要なものではないですからね。

― 仕事をする上で大事にしていることは?

結局自分は、どこまでいっても職業アーティストなのだと思うのです。僕の作品を待っている人が存在するので、じゃあそういうお客さんのハートに刺さるような作品ばかりを作ればいいかといえばそうでもない。僕のエゴイズムみたいなものを主張しつつ、それが相手にとっても心地良いものであるという関係が究極の理想です。つまり、自分が素敵だなと思うものを、同じようにお客さんが素敵だなって思ってくれることが一番ですよね。自分の意思とお客さんの思い、どっちにバランスが傾いてもダメ。真っすぐなエゴイズムといいますか、そこは大事にしたいです。

― 今後、会社をどうしていきたいですか?

今年は、6月末から台北で開催する「TOKYO ART CITY BY NAKED IN TAIPEI」など、アジア圏でNAKEDのアート展が初開催することも決まっているので、決してかしこまって"海外進出"という感じではなく、もっとナチュラルに『世界』という舞台で、映画でも空間演出でも何でも、自分の思う表現をしていきたいですね。あと僕の作品には、日本の伝統のあるものとのコラボ作品が多いんです。そこは僕自身も大事にしていて、伝統というものは滅びてないということであって、それはつまりつねにどこかでイノベーションが起こってきたということなわけで。それこそ今、自分がイノベーション型のことをやっているわけですから、本当に学ぶことが多くて。今僕がやっている表現が、これから先、日本の伝統と言われるところまでいけるのかどうかというのは、そこにヒントがあると思うんですよね。


― 自ら笑いを交えながら、和やかな空気を創り出し取材に応じてくれた村松さん。そのバイタリティの源はやはり作品作り。「何かを創作する際は、同じ型をひたすら繰り返すということはなく、つねに新鮮味をもって取り組んでいて新たなトライがいつもあるので、気持ちとしては20代のときに映画を作ろうと思っていたときと何も変わらないんですよ」と、村松さん。その直後に「とはいっても、単に僕が成長していないっていう説もありますけど」と、いいながら苦笑いを浮かべる姿がとても印象的でした。

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100%ウールで作った開発機能素材を採用。独特のハリと反発力に加え、グレーのわたで染めたミックス素材は、明るすぎない引き締まった色味と、ウォーターカラーのストライプを入れることで清涼感プラスしている。またナチュラルストレッチと防しわ性を備えているので激しい動きにも対応可能で、さらに表面には撥水加工を、袖裏は強撚メッシュを施しているので通気性も抜群。クールビズとして、これからの梅雨のシーズンには最適なスーツなのだ。


(村松 亮太郎様着用アイテム)
SUIT ¥99,000(+TAX)
SHIRT ¥23,000(+TAX)
TIE ¥15,000(+TAX)
TIE BAR ¥9,000(+TAX)
POCKET SQUARE ¥5,000(+TAX)

問い合わせ先/ポール・スチュアート 青山店 Tel.03-3406-8121

PEOPLE PROFILE

村松亮太郎 Ryotaro Muramatsu
クリエイティブカンパニー NAKED Inc.代表

1971年、大阪府生まれ。デジタルの黎明期であった1997年に仲間のクリエイターとともに『ネイキッド』を設立。2002年より映画制作を開始。2012年に東京駅丸ノ内駅舎で開催された「TOKYO HIKARI VISION」の3Dプロジェクションマッピングの演出を掛けたことは有名。2014年には新江ノ島水族館「ナイトアクアリウム」の演出を手掛ける。6月30日~9月16日まで台北市に所在する華山文創園區にて、ネイキッドでは初となる海外でのアート展『TOKYO ART CITY BY NAKED IN TAIPEI』を開催することが決定。

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